主任さんが面接を受けようとする話
【主任】大変です!課長!
【課長】どうしたの主任さん。朝から騒々しい。
私の同期の吉田君が...若いのに...
えっ! 亡くなったの?...そんな訃報連絡あったっけ?
そうじゃありません! 課長になってしまったのです。
へぇ〜 すごいね〜。出世頭だね。
へぇ〜 すごいね〜。じゃないですよ!
なんで、そんなに怒ってんの?
永遠のライバルが先に出世して面白いわけないじゃないですか!
吉田君って首都圏営業の吉田君だろ〜。あっちはなんとも思ってないんじゃないの〜。
失礼な! それより私が課長になる兆しみたいなもんはないんですかね〜。研修の話だとか、面接の話だとか。
全くないよ。
なんで言い切るんですか。そもそもどうすれば課長になれるのか教えてつかぁさい。
へんな方言が混じってるよ。人事に行って課長になりたいって言えばいいんだよ。
...へっ?それだけでいいんですか?
そこから始まるんだよ。でもうちの会社の場合、年齢とかステータスとか全く関係ないから...
すごい教育研修があったりするんですか?
ないよ。
課長になるための厳しい試験があるとか?
ないよ。
じゃあ、課長にしてって人事に言ったら、簡単になれちゃうんですか?
そんなに甘くもないよ。社長の面接があるんだよ。
げっ! でもそれだけなら何とかなりそうですね。
そうでもないんだよね〜。かなり厳しい面接らしいよ。
どんなこと聞かれるんですか?
聞かれるんじゃないんだよ。
えっ...?
面接とは言うものの社長からは何も聞いてこないんだよ。
じゃあ何を喋ればいいんですか?
社長から自分の課長としてのミッションを引き出さないと課長になれないんだよね。
おっしゃってる意味がよくわかりませんが...
説明できるほど形式化されてないんだよね〜。
自分のミッションについてプレゼンすればいいんですか?
それが、一方的にプレゼンすると駄目らしいんだよ。対話を繰り返して両者のメッセージによってミッションが紡ぎだされるように...って人事は説明しているんだけど...誰もよくわからないんだよ。
課長はどうやって課長になったんですか?
社長とだらだらと喋ってたら、社長がこんな仕事したらどうだって言うんで、わかりましたって言ったら課長になってたよ。
なんて安易な。社長とおしゃべりして運がよかったら課長になれるってことですか?
社長も別におしゃべりしてるだけじゃないとは思うんだけど... 基本的には対話を構築していく能力を見てると思うんだよね。それと気になったのが、その場で作った仮説を何段にも重ねて思考を構築していくんだよね。
それは何を試されてるんですか?
構想力だと思うんだよね。
構想力ねぇ...
構想を練るのって、全部の材料が揃うのはまれで、必ず仮説の部品が混じってくるんだけど、仮説の部品を信じてその上に思考を重ねるのは結構難しいんだよね。結構足元がぐらつく感じがあって...仮説を脳みそが信じてなかったりして、思考が進まなくなる。
ふ〜ん。そんなもんですかね〜。
よく仮説ベースの会話していると、「そんなタラレバの話をしてもしょうがない!」って言い出す人いるだろ。あれは脳が耐えられなくなるんだよ。ぐらぐらの足場に。過去に起こったことに対して言うのは正しいけど、将来のことについて言うのは構想力がない証拠だよ。
なんでそんな能力を社長は課長の面接で試すんでしょうね?
さあね。社長に聞いてみてよ。
でも、そういう感じの会話 僕 結構得意ですよ。
...主任さんのは構想力というよりは妄想力だと思うんだけど...
何が違うんですか?一字違うだけでほとんど同じじゃないですか。
主任さんの場合、仮説と事実の見境がつかなくなって暴走するから。
...失礼ですね。でも、試しに社長面接受けて見ようかな〜。
言い忘れたけど、社長面接を受けられるのは3回までだからね。それでだめだったら課長へのパスはなくなるよ。
げっ!...もう少し構想力を鍛えてからにしようかな〜。
それがいいと思うよ。
